淡い恋
数ヵ月ぶりにマッサージに行って来た今日
関西に住んでいた頃は毎週通っていたのだけどね、こちらに来てからは殆ど行った事もなく
だけどもう、普段から肩凝りには悩まされていてホルターネックも着れないし、ネックレスもできればつけたくない、そんな体質の上にこの寒さでもはやツライを通り越して痛いになってしまった、私の肩
本当にたまらなくなって行ってみたのは、まぁよくある、オルゴール音のCDが流れていてアロマデュヒューザーの清潔な匂いのする、クイックマッサージ
もはやかなりの力で押して貰わないと何も感じないこの肩、今日の担当の人は女性だったのでかなり疲れさせてしまったかも
で、案の定、揉み返しなのだけど
これ、想定内なのよね、というよりも、わざとそれくらい強く揉んでもらったの
ちょっとやそっとやほぐれないこの凝り、無理矢理にでも1度ほぐして、揉み返しが起こったら更にそれを、揉みほぐす
いいか悪いかと言われればきっと、悪い荒治療なのだろうけど、これが一番てっとり早いのよね
そして当日中に起こるであろう揉み返しの事を考えながら思い出す、ある人の事
好きな人がいたのよね、以前、関西で通っていたマッサージ屋さんに
「好きな人」と呼ぶには少し違うかな、気になるというか
特に話した事もないし最初は本当に、マッサージが上手だったからその人を指名していた私、だって痛みも上手く気持ち良さに変えながら押してくれて、揉み返しになんてならずとも懲りをほぐしてくれたんだもの
男性を指名するなんて後にも先にも、あの人だけだと思う
最初に偶然その人に施術してもらった後に次回からの為にお名前を聞いた時も、私は気が付かなかったのだけど
その人は日系ブラジル人で、後日の事務的なやり取りの中でカタコトの日本語だと気付いた私
そして、何故日系ブラジル人か特定したかと言うと、しばらく通ってまたそのお店に行こうと予約の電話をしたある日、「ブラジルに帰りました」と言われたから
何でもそのお店の殆どの人が、日系ブラジル人らしくて
何というか、見た感じは全くの日本人、少し顔立ちがはっきりしているなといった感じで、まぁ、仕事中だからなのだろうけど、黙々と仕事して、何て表現したらいいのかな、とにかく雰囲気がすごく、気になる人だったのよね
寂しそう、も似ているけど違うし、寡黙、も、ちょっと違う、エキゾチックでもあったし、それでいて誠実さや明るさが垣間見えたり
本当にいい表現がわからないのだけど素敵な人で、これは下心ではなく体の為に殆ど毎週通う様にしていたのに、たまたまストーカーに付きまとわれてしまって仕事を辞めて引っ越して、日常的に通っていたお店も行けなくなってしまった2ヶ月程の間にあの人は辞めてしまっていて
最後のお別れなんて物も、本当に私は人見知りなので特に話す事もなく、別に母国に帰ってしまう直前まで通っていたとしても無かったのかも知れないけど、寂しい様な悲しい様な、だからと言って泣くわけでもない、そんなぼんやりとした恋でした
その後もマッサージに行く度に必ず、あの人の事を思い出すのだけどね、やっぱり、あの人くらい上手な人も、一目見た後の惹き付けられる感じを持っている人も、出会えない
こんな事書いてるのを恋人さんが知ったら気を悪くしちゃうのだろうけどね
恋とも好きとも言い切れない程のあやふやな気持ち、だけど好きじゃない事も決してなく、でもまぁ、やっぱり好きだったのかな、だってもしどこかに誘われたら、絶対断らなかったもの
そういう事はしない主義だし、した事もないのだけれど、一晩だけとかあの人が帰るまでの期間限定とかの、体だけの関係でも私は抗わなかったかも知れない
恋人さんとの安定した今の暮らし、この人の事は大好きだけれど、あんな風な気持ちをまた持てたらいいなと思う
何ていうのかな、安定とか信頼とか、そういう物が見えなくても情熱だけで進む様な
寂しさや疑いとかの負の気持ちは相手に見せずに自分だけで消化して、だけどそれは、その人とだからできるといった感じの
そういう、新鮮さもずっとあって少しだけ、距離がありながらも自分たちのお互いの一部分だけは深く交わっている様な、そんな関係
後悔しない覚悟を持てる相手となら、1度くらい、そういう恋も経験してみるのもいいのかも知れないね